京葉銀行——恵まれた千葉県で、第二地銀2位の規模は何に貸すか
預貸率78.7%、不良債権比率1.29%。千葉市に本店を置く京葉銀行は、第二地方銀行で北洋銀行に次ぐ2位の規模。人口と産業に恵まれた千葉県をほぼ唯一の地盤に、貸出の9割近くを県内に向ける銀行の数字を読みます。
千葉県千葉市に本店を置く京葉銀行は、地元で「けいよう」と呼ばれる第二地方銀行です。預金5兆5,411億円、貸出金4兆3,631億円、店舗122。第二地方銀行のなかでは、北海道の北洋銀行に次ぐ2番目の規模を誇ります。前身は千葉相互銀行で、1989年に普通銀行へ転換して京葉銀行になりました。歴代の頭取が第二地方銀行協会の会長を務めるなど、業界でも確かな存在感を持つ銀行です。
この銀行を理解する鍵は、地盤である千葉県の性格にあります。千葉県は、首都圏の一角として人口が多く、東京湾岸の工業地帯、成田空港を擁する物流・商業、内陸の農業まで、人口にも産業にも恵まれた県です。京葉銀行は、この千葉県をほぼ唯一の地盤とし、貸出金の9割近くを県内向けが占めています。本拠地の豊かさに支えられた銀行——それが、京葉銀行の数字を読む鍵になります。
この銀行の数字で目を引くのは、預貸率78.7%という高さと、不良債権比率1.29%という低さの組み合わせです。県内中心に大きく貸しながら、焦げ付きは低く抑えられている。この二つを、恵まれた千葉県という土地から読むと、安定した地銀の姿が見えてきます。
まず、数字を並べる
京葉銀行の預金は5兆5,411億円、貸出金は4兆3,631億円、預貸率78.7%。自己資本比率は10.75%、不良債権比率は1.29%。中小企業等向けの貸出残高は3兆3,477億円にのぼります。
| 預金 | 5兆5,411億円 |
|---|---|
| 貸出金 | 4兆3,631億円 |
| 預貸率 | 78.7% |
| 自己資本比率 | 10.75% |
| 不良債権比率 | 1.29% |
| 中小企業等向け貸出残高 | 33,477億円 |
| 店舗 | 122店 |
預金5兆円超、第二地銀で全国2位の規模。その大半を千葉県内で貸す銀行です。
78.7%と1.29%を、恵まれた千葉県から読む
預貸率78.7%という高さと、不良債権比率1.29%という低さ。この組み合わせは、地盤の豊かさに支えられた地銀の安定を示しています。
京葉銀行が貸す相手は、その大半が千葉県内の事業者と個人です。千葉県は首都圏の一角として人口が多く、東京湾岸には鉄鋼・化学などの工業地帯が広がり、成田空港を中心とした物流・商業、内陸の農業まで、産業の裾野が広い。貸す相手が量・質ともに豊富にあるため、県内中心でも預金の8割近くを貸出に回せる。これが、預貸率78.7%という高さの背景です。同時に、多様な業種・規模の借り手に分散して貸せるため、特定の産業の浮き沈みに左右されにくい。恵まれた地盤は、よく貸せることと、焦げ付きを抑えられることの、両方を可能にする——不良債権比率1.29%という低さは、その表れと読めます。本紀行で見てきた、人口減少や地場産業の構造変化を抱える地方の金融機関とは、対照的な数字です。
もっとも、千葉県という単一の地盤に集中していることは、強みであると同時にリスクでもあります。営業エリアがほぼ千葉県に限られるため、台風などの自然災害や、県経済全体の浮き沈みの影響を受けやすい一面もあります。京葉銀行が2021年にりそなホールディングスと戦略的な業務提携を結んだのも、こうした環境のなかで経営基盤を強める動きの一つと読めます。それでも、人口と産業に恵まれた千葉県を地盤とすることは、この銀行の揺るぎない土台であり続けています。
北関東の地銀と並べてみる
同じ関東でも、北関東の茨城県を地盤とする常陽銀行は、県内シェア5割に迫る地銀として、預貸率73.9%・不良債権比率1.09%という数字を示していました。京葉銀行(78.7%・1.29%)と、数字の性格はよく似ています。恵まれた、あるいは確固たる地盤を一つの県に持つ銀行は、種別(地銀か第二地銀か)を超えて、似た安定の数字に行き着く。地盤の質が、貸す姿勢と焦げ付きの両方を決めていることが見えてきます。両者を並べると、関東の地域銀行の地力がより立体的に読めます。
借り手にとっての意味
千葉県に深く根ざす銀行は、県内の事業者にとって身近な選択肢です。第二地銀でありながら全国2位の規模を持つ京葉銀行は、相応の資金力と、県内を知り抜いた目を併せ持っています。預貸率の高さは積極的に貸す姿勢の表れとも読めますが、それが個別の融資の可否を保証するものではありません。預貸率という数字の読み方は、預貸率の読み方であらためて整理しています。
数字は、地盤の豊かさを映す
預貸率78.7%という高さと、不良債権比率1.29%という低さは、人口と産業に恵まれた千葉県を地盤に、県内へ大きく貸しながら安定を保ってきた銀行の姿を映しています。人口減少を抱える地方の金融機関もあれば、京葉銀行のように恵まれた地盤の上に立つ銀行もある。数字は、その金融機関がどんな土地に根ざしてきたかを語ります。京葉銀行の数字は、恵まれた首都圏の県に立つ、第二地銀2位の地力の記録です。
同じ千葉県には、県内シェア4割を握る大手地銀の千葉銀行があります。圧倒的な規模と資金力で県全体を覆う千葉銀行(預貸率81.3%)と、その隙間で中小企業や個人にきめ細かく寄り添う第二地銀の京葉銀行とを並べると、同じ成長市場・千葉の金融の重層性が見えてきます。県内シェア4割の大手地銀の姿は、千葉銀行の記事もあわせてどうぞ。
各地の金融機関には、それぞれの土地の事情が刻まれた、それぞれの生き方があります。千葉県の他の金融機関とあわせて眺めたい方は、千葉県の地域金融機関のページもどうぞ。
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
京葉銀行が千葉相互銀行から1989年に普通銀行へ転換したこと、第二地方銀行のなかで北洋銀行に次ぐ2位の規模であること、貸出金の大半(約9割)を千葉県内向けが占めること、2021年のりそなホールディングスとの業務提携に関する記述=京葉銀行および各種報道・公開情報にもとづく。
千葉県の人口・産業(東京湾岸の工業、成田空港を中心とする物流・商業、農業等)に関する記述=各種公開情報。
常陽銀行の数値=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。