常陽銀行——県内シェア5割に迫る、北関東最大の地銀の数字
茨城県水戸市に本店を置く常陽銀行は、預金10兆円を超える北関東最大の地方銀行です。県内企業のメインバンクシェアは約48%。預貸率73.9%、不良債権比率1.09%という数字は、一つの県に深く根を張った地銀の地力を映しています。
茨城県の県都・水戸市に本店を置く常陽銀行は、預金10兆4,571億円、貸出金7兆7,330億円、店舗181。北関東三県に本店を置く銀行のなかで最大の規模を誇り、茨城県の指定金融機関——県の公金を扱う銀行——を務める、名実ともに県を代表する地方銀行です。現在はめぶきフィナンシャルグループの一員でもあります。
本拠地の茨城県は、首都圏に近い県南のつくば・土浦の研究・商業集積から、県都・水戸の商業、県北の工業、そして全国有数の産出額を誇る農業まで、多様な経済を抱えています。常陽銀行は、その県内のあらゆる地域・業種に深く根を張ってきました。県内企業がメインバンクとして挙げる金融機関の調査では、常陽銀行のシェアは約48%。卸売やサービスなど一部の業種では5割を超え、売上規模の大小を問わず、小さな企業から中堅・大企業まで幅広く支持されています。この圧倒的な地域基盤が、常陽銀行の数字を読む鍵になります。
まず、数字を並べる
常陽銀行の預金は10兆4,571億円、貸出金は7兆7,330億円、預貸率73.9%。自己資本比率は12.47%。不良債権比率は1.09%。中小企業等への貸出先は約27万先にのぼります。
| 預金 | 10兆4,571億円 |
|---|---|
| 貸出金 | 7兆7,330億円 |
| 預貸率 | 73.9% |
| 自己資本比率 | 12.47% |
| 不良債権比率 | 1.09% |
| 中小企業等向け貸出先 | 269,333先 |
| 店舗 | 181店 |
中小企業等への貸出先は約27万先。一つの地銀が抱える取引先として、屈指の規模です。
73.9%という預貸率を、地域基盤から読む
地方銀行の預貸率として、73.9%はしっかり高い水準です。集めた預金の7割以上を貸出に回している。これだけ貸せるのは、貸す相手がそれだけ豊富にいるからにほかなりません。
その裏づけが、県内シェア約48%という地域基盤です。茨城県内の企業のほぼ半数が、常陽銀行をメインバンクとしている。貸す動機が薄いから貸さないのではなく、県内に貸す相手が圧倒的に多いから、高い預貸率を保てる——常陽銀行の数字は、そう読むのが自然です。中小企業等への貸出先が27万を超えるという数字が、その裾野の広さを物語っています。県の指定金融機関として公金を扱い、地域の隅々まで支店網を張る地銀ならではの強みです。
1.09%という、低い不良債権比率
不良債権比率1.09%は、地方銀行としても低い水準です。これだけ広く貸していながら焦げ付きが低く抑えられているのは、二つの面から読めます。
一つは、貸し先の分散です。県内の多様な業種・規模に広く貸しているため、特定の産業の浮き沈みに比率が振り回されにくい。もう一つは、長年にわたって県内に根を張り、取引先の事情を深く知る地銀ならではの目利きです。圧倒的なシェアは、それだけ多くの取引先を見てきた経験の蓄積でもある。もっとも、不良債権比率には景気や引当方針も絡むため、低さがそのまま盤石を意味するわけではありません。ただ、県経済そのものと一体化した地銀が、焦げ付きを低く保っていることは、その地力の表れと読めます。自己資本比率12.47%という相応の厚みも、その安定を支えています。
同じ県の、信用金庫と並べてみる
同じ茨城県には、県都の信用金庫である水戸信用金庫もあります。水戸信用金庫の預貸率は42.4%、不良債権比率は5.05%。常陽銀行(73.9%・1.09%)とは、対照的な数字です。これは優劣ではなく、役割と立ち位置の違いです。県全体に広く貸す指定金融機関の地銀と、地域の中小に密着する信金とでは、貸す相手も、抱えるリスクの質も違う。同じ県の金融機関でも、規模と立場が違えば、数字はこれだけ異なる。両者を並べて見ると、それぞれの生き方がより立体的に見えてきます。茨城の信用金庫の姿は、水戸信用金庫の記事もあわせてどうぞ。
数字は、地域への深さを映す
運用に振る銀行もあれば、特定の産業に密着する金融機関もあります。そして常陽銀行のように、一つの県の経済そのものと一体化し、広く深く貸す地銀もあります。預貸率と不良債権比率という数字の組み合わせは、その金融機関がどれだけ地域に根を張っているかを映す鏡です。県内シェア5割に迫る地銀が示す高い預貸率と低い焦げ付きは、その地域基盤の深さの表れと読めます。
各地の金融機関には、それぞれの土地への根の張り方が刻まれた、それぞれの生き方があります。同じ関東で確かな地盤を持つ地域銀行として、人口と産業に恵まれた千葉県を地盤とする京葉銀行とあわせて読むと、一つの県に深く根ざす銀行の地力が、地銀と第二地銀の違いを超えて見えてきます。茨城県の他の金融機関とあわせて眺めたい方は、茨城県の地域金融機関のページもどうぞ。
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。
県内メインバンクシェア(約48%)に関する記述=帝国データバンク水戸支店「茨城県内企業のメインバンク動向調査」等の公開情報。指定金融機関・グループ・規模に関する記述=常陽銀行および報道各社の公開情報等。
水戸信用金庫の数値=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末。