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山梨中央銀行——甲斐の国唯一の地銀は、何に貸すか

預貸率77.8%、預金3.5兆円、不良債権比率0.91%。甲府市に本店を置く山梨中央銀行。1877年創業の山梨県唯一の地方銀行が、果樹と観光の甲斐の国と首都圏で貸す姿を読みます。

ニホン銀行紀行 ・ 山梨県

山梨県甲府市に本店を置く山梨中央銀行は、地元で「山梨中銀(やまなかぎん)」と呼ばれる、山梨県唯一の地方銀行です。預金3兆5,489億円、貸出金2兆7,600億円、店舗99。山梨県や甲府市などの指定金融機関——公金を扱う銀行——を受託し、県内で圧倒的な地位を占めています。

本拠地の山梨県は、四方を山に囲まれた甲斐の国。甲府盆地は日本有数の果樹地帯で、ぶどう・桃の生産は全国トップクラス、ワイン醸造でも知られます。富士山や昇仙峡といった観光資源も豊かで、近年は首都圏からのアクセスのよさを生かした企業の進出も見られます。一方で、人口減少と高齢化が進む土地でもあります。果樹と観光、そして首都圏に隣接するという甲斐の国の土地柄が、山梨中央銀行の数字を読む鍵になります。

山梨中央銀行の歩みは古く、1877年(明治10年)に第十国立銀行として創業したことに始まります。明治初期のナンバー銀行を源流とし、以来、県内唯一の地方銀行として地域とともに歩んできました。数字の面で目を引くのは、預貸率77.8%という高さと、不良債権比率0.91%という、1%を切る低さの両立です。これを、甲斐の国という土地から読みます。

まず、数字を並べる

山梨中央銀行の預金は3兆5,489億円、貸出金は2兆7,600億円、預貸率77.8%。自己資本比率は9.69%、不良債権比率は0.91%と低い水準です。中小企業等向けの貸出残高は1兆5,274億円にのぼります。

山梨中央銀行(令和7年3月末)
預金3兆5,489億円
貸出金2兆7,600億円
預貸率77.8%
自己資本比率9.69%
不良債権比率0.91%
中小企業等向け貸出残高15,274億円
店舗99店

預貸率77.8%・不良債権0.91%。県唯一の地銀がよく貸し、焦げ付きは低い。

77.8%と0.91%を、甲斐の国から読む

預貸率77.8%という高さと、不良債権比率0.91%という低さ。この組み合わせは、県唯一の地銀として山梨の資金需要を一手に引き受けつつ、堅実に貸してきた姿を示しています。

山梨中央銀行が貸す相手は、まず山梨県内の事業者と個人です。果樹農業やワイン醸造、富士山周辺の観光業、甲府の商業、地域の中小製造業が、その融資先に含まれます。県唯一の地銀として、山梨の経済そのものと一体になって資金を回してきました。加えて、首都圏に隣接する立地を生かし、東京都西部や神奈川県にも店舗を展開し、貸し先を広げています。とりわけ東京都西部には山梨から進出した企業も多く、それらを足がかりに首都圏での取引を伸ばしてきました。本拠地・山梨で圧倒的なシェアを握りつつ、隣接する首都圏でも貸す——この二段構えが、預貸率77.8%という高さを支えていると読めます。

そして、これだけ貸しながら不良債権比率は0.91%と、1%を切る低さに抑えられています。山梨中央銀行は「地域密着と健全経営」を掲げ、手厚い自己資本を維持してきたことで知られます。果樹・観光から首都圏の取引先まで貸し先が分散していること、そして県を知り抜いた県唯一の地銀の堅実な目利きが、この低い焦げ付きの背景にあると読めます。もちろん、これらの比率には経営方針や景気も絡むため断定はできませんが、果樹と観光の甲斐の国と、隣接する首都圏という二つの地盤を抜きに、この数字は読めません。

山梨中央銀行が示すのは、県唯一の地銀が、甲斐の国と首都圏に堅実に貸す姿です。果樹と観光の山梨で圧倒的シェアを握りつつ、隣接する東京西部にも貸し先を広げ、なお焦げ付きは1%未満に抑える。77.8%と0.91%の両立は、健全経営を貫いてきたことの表れと読めます。

同じ「県唯一の地銀」と並べてみる

本紀行には、もう一つの「県唯一の地方銀行」が登場しています。奈良県の南都銀行です。南都銀行もまた、奈良という地盤の限界を補うように、隣接する大阪都市圏へ貸し先を広げていました。山梨中央銀行(預貸率77.8%)と南都銀行は、いずれも県唯一の地銀でありながら、本拠地の資金需要を引き受けつつ、隣接する大都市圏にも貸し先を求めるという、よく似た構図を持っています。これは偶然ではなく、大都市圏に隣接する県の地銀が共通して抱える事情です。両者を並べると、県唯一の地銀が地盤の外をどう使うかという論理が見えてきます。もう一つの県唯一の地銀の姿は、南都銀行の記事もあわせてどうぞ。

借り手にとっての意味

県唯一の地銀は、山梨県の事業者にとって、もっとも身近な選択肢のひとつです。県内で圧倒的な基盤と、首都圏に広がる店舗網は、地域を越えた取引を目指す企業にとっても心強いものです。高い預貸率は積極的に貸す姿勢の表れとも読めますが、それが個別の融資の可否を保証するものではありません。預貸率という数字の読み方は、預貸率の読み方であらためて整理しています。

数字は、甲斐の国を映す

預貸率77.8%という高さと、不良債権比率0.91%という低さは、果樹と観光の甲斐の国に1877年から根ざし、県内シェアを握りつつ首都圏にも貸し先を広げ、健全経営を貫いてきた県唯一の地銀の姿を映しています。一つの地盤で完結する地銀もあれば、山梨中央銀行のように本拠地と首都圏の二つを使う地銀もある。数字は、その金融機関がどんな土地に立ち、どう経営を律してきたかを語ります。山梨中央銀行の数字は、明治のナンバー銀行を源流とする県唯一の地銀の、いまの記録です。

各地の金融機関には、それぞれの土地と立場の事情が刻まれた、それぞれの生き方があります。山梨県の他の金融機関とあわせて眺めたい方は、山梨県の地域金融機関のページもどうぞ。

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
山梨中央銀行の沿革(1877年に第十国立銀行として創業)、山梨県唯一の地方銀行であること、山梨県・甲府市などの指定金融機関であること、「地域密着と健全経営」を経営理念に掲げ手厚い自己資本を維持していること、東京都西部・神奈川県への店舗展開に関する記述=山梨中央銀行および各種公開情報にもとづく。
山梨県の地理と産業(甲府盆地の果樹・ぶどう・桃・ワイン、富士山・昇仙峡等の観光、首都圏隣接)に関する記述=各種公開情報。
南都銀行の位置づけ=各種公開情報および本紀行既出記事。

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