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きらぼし銀行——三行が一つになった都市型地銀は、東京で何に貸すか

預貸率90.6%、預金5.5兆円、中小残高4.0兆円。港区に本店を置くきらぼし銀行。三つの銀行が合併して生まれた東京きらぼしフィナンシャルグループの中核地銀が、巨大都市・東京で貸す姿を読みます。

ニホン銀行紀行 ・ 東京都

東京都港区に本店を置くきらぼし銀行は、東京を主たる地盤とする地方銀行です。預金5兆4,678億円、貸出金4兆9,530億円、店舗163。東京きらぼしフィナンシャルグループの中核を担う、東京の都市型地銀です。

本拠地の東京都は、言うまでもなく日本最大の経済圏です。大企業の本社が集まり、メガバンクが本拠を構える一方で、中小企業の数も日本で最も多い。商業・サービス業・不動産・IT・製造まで、あらゆる産業がひしめき、無数の事業者が日々資金を必要としています。メガバンクや信金・信組がしのぎを削るこの巨大市場で、地方銀行として中小企業に向き合うのが、きらぼし銀行の立ち位置です。この日本最大の市場という地盤が、きらぼし銀行の数字を読む鍵になります。

きらぼし銀行は、2018年、東京都民銀行・八千代銀行・新銀行東京の三行が合併して誕生した銀行です。それぞれ東京を地盤としてきた銀行が一つになり、東京きらぼしフィナンシャルグループの中核行となりました。比較的新しい名前ですが、母体となった各行は長く東京の事業者と歩んできた歴史を持ちます。数字の面で目を引くのは、預貸率90.6%という高さです。

まず、数字を並べる

きらぼし銀行の預金は5兆4,678億円、貸出金は4兆9,530億円、預貸率90.6%。自己資本比率は9.12%、不良債権比率は1.69%。中小企業等向けの貸出残高は3兆9,964億円にのぼります。

きらぼし銀行(令和7年3月末)
預金5兆4,678億円
貸出金4兆9,530億円
預貸率90.6%
自己資本比率9.12%
不良債権比率1.69%
中小企業等向け貸出残高39,964億円
店舗163店

預貸90.6%・中小残高4.0兆円。東京の中小に深く貸す都市型地銀の数字。

90.6%を、東京の中小から読む

預貸率90.6%は、地方銀行のなかでもかなり高い水準です。集めた預金の9割超を貸出に回している。日本最大の市場・東京で、旺盛な資金需要を引き受けていることの表れと読めます。

きらぼし銀行が貸す相手は、東京を中心とする中小企業と個人です。都心の商業・サービス業、不動産・建設、城東・多摩などの製造業、そして個人の住宅ローンが、その融資先に含まれます。中小企業等向けの貸出残高3兆9,964億円が貸出金の大半を占めることが、その性格をよく表しています。メガバンクが大企業を相手にする東京で、地方銀行は中小企業に向き合うことで存在感を保つ。日本で最も中小企業の多い東京には、貸し先が無数にある。この巨大な中小市場が、預貸率90.6%という高さを支えていると読めます。

不良債権比率1.69%は、地銀として標準的な水準です。多様な業種にまたがる東京の中小に貸し先が広く分散していること、三行が培ってきた与信のノウハウが表れていると読めます。自己資本比率9.12%は地銀として相応の水準で、よく貸しながらバランスを保つ経営がうかがえます。もちろん、これらの比率には経営方針や景気も絡むため断定はできませんが、日本最大の市場で中小に向き合う都市型地銀という立場を抜きに、この数字は読めません。

きらぼし銀行が示すのは、メガバンクがひしめく東京で、中小企業に深く貸す都市型地銀の姿です。三行が一つになり、預金の9割超を東京の中小に流す。90.6%という高さは、日本で最も中小企業の多い土地に貸し先が無数にあることの表れと読めます。

同じ東京で、巨大信金と並べてみる

本紀行には、同じ東京都の城南信用金庫も登場しています。城南信金は、預金4兆円超という全国屈指の規模を持ちながら、預貸率は58.5%と、貸すより蓄える姿勢を見せる信金でした。東京の中小に預金の9割超を貸すきらぼし銀行(預貸率90.6%)と、巨大な規模を持ちながら貸出を抑える城南信金(預貸率58.5%)とを並べると、同じ東京の中小を相手にしながら、攻めて貸す都市型地銀と、慎重に構える巨大信金とで、姿勢がこれほど分かれることが見えてきます。よく貸す地銀の対極にある巨大信金の姿は、城南信用金庫の記事もあわせてどうぞ。

借り手にとっての意味

東京の都市型地銀は、東京の中小事業者にとって、メガバンクと信金・信組のあいだに立つ有力な選択肢です。中小に深く貸す姿勢と地銀としての規模は、成長を目指す事業者にとって心強いものです。高い預貸率は積極的に貸す姿勢の表れとも読めますが、それが個別の融資の可否を保証するものではありません。預貸率という数字の読み方は、預貸率の読み方であらためて整理しています。

数字は、巨大市場での立ち位置を映す

預貸率90.6%という高さと、中小残高4.0兆円という規模は、メガバンクがひしめく東京で、三行が一つになり中小企業に深く貸すことで存在感を保ってきた都市型地銀の姿を映しています。地方の一県を支える地銀もあれば、きらぼし銀行のように巨大都市の中小に向き合う地銀もある。数字は、その金融機関がどんな市場で、誰に向き合ってきたかを語ります。きらぼし銀行の数字は、東京の中小を支える都市型地銀の、いまの記録です。

各地の金融機関には、それぞれの市場と立場の事情が刻まれた、それぞれの生き方があります。東京都の他の金融機関とあわせて眺めたい方は、東京都の地域金融機関のページもどうぞ。

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
きらぼし銀行の沿革(2018年に東京都民銀行・八千代銀行・新銀行東京の三行が合併して誕生したこと、東京きらぼしフィナンシャルグループの中核行であること、東京を主たる地盤とする都市型地銀であること)に関する記述=きらぼし銀行・東京きらぼしフィナンシャルグループおよび各種公開情報にもとづく。
東京都の経済(日本最大の経済圏、大企業の本社・メガバンクの集積、中小企業数が全国最多であること)に関する記述=各種公開情報。
城南信用金庫の位置づけ=各種公開情報および本紀行既出記事。

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