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北おおさか信用金庫——大阪北部の大型信金は、何に貸すか

預貸率52.3%、預金1.5兆円。茨木市に本店を置く北おおさか信用金庫。大阪府北部の都市圏を地盤とする大型信金が、預金の半分強を中小に貸す姿を、北摂という土地から読みます。

ニホン銀行紀行 ・ 大阪府

大阪府茨木市に本店を置く北おおさか信用金庫は、地元で「きたしん」と呼ばれる信用金庫です。預金1兆5,320億円、貸出金8,007億円、店舗65。大阪府北部、いわゆる北摂(ほくせつ)地域を中心とする、信用金庫としては大型の部類に入る信金です。複数の信用金庫の合併を経て、現在の姿となりました。

本拠地の北摂は、大阪市の北側に広がる都市圏です。茨木・吹田・高槻・豊中といった、大阪都心へ通勤する人々が暮らすベッドタウンが連なり、人口が多く、商業・サービス業や中小の製造業が広がる地域です。万博記念公園や大学・研究機関も多く、住宅都市と産業が混在しています。この、人口の多い都市圏という地盤が、北おおさか信用金庫の数字を読む鍵になります。

数字の面で見ておきたいのは、預貸率52.3%という水準です。預金1.5兆円という大型信金でありながら、集めた預金の半分強を貸出に回しています。

まず、数字を並べる

北おおさか信用金庫の預金は1兆5,320億円、貸出金は8,007億円、預貸率52.3%。自己資本比率は13.04%、不良債権比率は5.84%。中小企業等向けの貸出先は4万件を超えます。

北おおさか信用金庫(令和7年3月末)
預金1兆5,320億円
貸出金8,007億円
預貸率52.3%
自己資本比率13.04%
不良債権比率5.84%
中小企業等向け貸出先40,330件
店舗65店

預金1.5兆円・預貸52.3%。大型信金が都市圏の中小に貸す数字。

52.3%を、北摂の都市圏から読む

預貸率52.3%は、信用金庫として中庸からやや低めの水準です。集めた預金の半分強を貸出に回し、残りは有価証券などの運用にあてています。だが、注目すべきは規模です。預金1.5兆円という大型信金で、中小企業等向けの貸出先は4万件を超える。これは、北摂という人口の多い都市圏に、無数の中小事業者と個人が集まっていることの表れです。

北おおさか信用金庫が貸す相手は、北摂の中小事業者と個人です。都市圏の商業・サービス業、中小の製造業、そして膨大な数の個人世帯の住宅ローンが、その融資先に含まれます。人口の多い都市圏では、貸し先となる中小事業者も個人も数多い。預貸率が52.3%にとどまるのは、それでも巨額の預金を貸し切れないためで、これは都市部の大型信金にしばしば見られる姿です。潤沢な預金を集めながら、その全てを地域の貸出に振り向けるには至らない——大都市圏の信金の、預金と貸出の構造です。

注目したいのは、不良債権比率が5.84%とやや高めなことです。都市圏とはいえ、信金が向き合うのは体力に余裕の小さい中小・零細事業者が中心で、景気変動の影響も受けやすい。長く付き合ってきた借り手の事情が、この比率にある程度表れていると思われます。一方、自己資本比率13.04%という相応の厚みは、こうしたリスクを受け止める備えになっています。もちろん、これらの比率には個別の事情や経営方針も絡むため断定はできませんが、人口の多い北摂の都市圏という地盤を抜きに、この数字は読めません。

北おおさか信用金庫が示すのは、人口の多い都市圏に根ざし、無数の中小に貸す大型信金の姿です。預金1.5兆円を集め、4万を超える中小先に貸す。預貸率52.3%という水準は、潤沢な預金を抱えながらも、その全てを貸し切れない大都市圏の信金の構造を映していると読めます。

同じ大阪で、もう一つの巨大信金と並べてみる

本紀行には、同じ大阪府の大阪シティ信用金庫も登場しています。大阪シティ信金は、大阪市内を中心とする全国屈指の規模の信金でした。大阪北部・北摂を地盤とする北おおさか信用金庫(預貸率52.3%・預金1.5兆円)と、大阪市内を地盤とする大阪シティ信金とを並べると、同じ大阪府でも、都心部とその北側の都市圏とで、それぞれ大型信金が中小を支えていることが見えてきます。大阪という巨大市場を分け合う、もう一つの巨大信金の姿は、大阪シティ信用金庫の記事もあわせてどうぞ。

なぜ、こうなったのか——制度と地域

北おおさか信用金庫が地元の中小事業者に貸す信金であることの背景には、信用金庫という制度があります。信用金庫が融資できる相手は原則として「会員」に限られ、その資格は信用金庫法10条1項により、信用金庫の定める「地区」の中に住所や事業所がある人、その地区で働く人、と定められています。事業者には規模の制限もあり、大企業は会員になれません。

この枠のもとでは、貸す相手はおのずと地元の中小事業者や住民に絞られます。北おおさか信用金庫にとって、その「地元」とは、人口の多い北摂の都市圏そのものです。会員資格が地区内に絞られるという制度の枠が、都市圏の中小と個人に貸す大型信金という姿を形づくっています。

借り手にとっての意味

大型の信用金庫は、都市圏の中小事業者や個人にとって、身近で頼りになる選択肢です。潤沢な預金量と相応の自己資本は、地域の事業と暮らしを支える基盤になっています。預貸率の水準は地盤の事情によるもので、それが個別の融資の可否を一律に決めるわけではありません。預貸率という数字の読み方は、預貸率の読み方であらためて整理しています。

数字は、都市圏の規模を映す

預貸率52.3%という水準と、4万を超える中小貸出先は、人口の多い北摂の都市圏に根ざし、無数の中小と個人を支えてきた大型信金の姿を映しています。地方の小さな信金もあれば、北おおさか信用金庫のように大都市圏の中小を束ねる大型信金もある。数字は、その金融機関がどんな規模の市場に立っているかを語ります。北おおさか信用金庫の数字は、大阪北部の都市圏を支える信金「きたしん」の、いまの記録です。

各地の金融機関には、それぞれの土地と規模の事情が刻まれた、それぞれの生き方があります。大阪府の他の金融機関とあわせて眺めたい方は、大阪府の地域金融機関のページもどうぞ。

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
北おおさか信用金庫の沿革・地盤(茨木市本店、大阪府北部・北摂地域を地盤とする大型信金、複数の信用金庫の合併を経たこと)に関する記述=北おおさか信用金庫および各種公開情報にもとづく。
北摂地域の性格(茨木・吹田・高槻・豊中等の都市、大阪都心への通勤者が多いベッドタウン、商業・サービス業・中小製造業)に関する記述=各種公開情報。
大阪シティ信用金庫の位置づけ=各種公開情報および本紀行既出記事。
信用金庫の地区・会員資格に関する記述=金融庁 金融審議会「協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループ」資料『協同組織金融機関の「地区」のあり方』(2008年6月20日・神吉正三)。

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