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福江信用組合——五島列島の店舗2の信組は、海の向こうで誰に貸すか

預貸率63.0%、預金145億円、店舗2。五島市に本店を置く福江信用組合。五島列島に根ざす極小の信組が、海の向こうの島で貸す姿を、離島という土地から読みます。

ニホン銀行紀行 ・ 長崎県

長崎県五島市に本店を置く福江信用組合は、五島列島を地盤とする信用組合です。預金145億円、貸出金91億円、店舗2。本紀行に登場する金融機関のなかでも、とりわけ小規模な——店舗わずか2という極小の——信用組合です。長崎港から西へ約100キロ、東シナ海に浮かぶ五島列島に根ざす、海の向こうの協同組織金融機関です。

本拠地の五島市は、五島列島の南部、福江島を中心とする市です。列島は大小の島々からなり、漁業を基幹産業とし、農業、観光、そして椿油などの特産が暮らしを支えてきました。潜伏キリシタンの歴史を刻む教会群は世界文化遺産の一角をなします。本土から海で隔てられ、人口減少と高齢化が全国でもとりわけ著しく進む地域です。この、海の向こうの離島という土地柄が、福江信用組合の数字を読む鍵になります。

数字の面で何より目を引くのは、店舗2・預金145億円という極小の規模です。あわせて、預貸率63.0%という、信組としては高めの水準があります。この小ささと預貸率を、五島という離島から読みます。

まず、数字を並べる

福江信用組合の預金は145億円、貸出金は91億円、預貸率63.0%。自己資本比率は11.98%、不良債権比率は3.11%。中小企業等向けの貸出先は672件です。

福江信用組合(令和7年3月末)
預金145億円
貸出金91億円
預貸率63.0%
自己資本比率11.98%
不良債権比率3.11%
中小企業等向け貸出先672件
店舗2店

店舗2・預金145億円。海の向こうの島に根ざす極小の信組。

63.0%を、五島の離島から読む

この信組を読むうえで何より大切なのは、その小ささです。店舗はわずか2、預金は145億円。本紀行に登場する金融機関のなかでも、際立って小さな協同組織です。だが、本土から海で隔てられた五島列島という限られた範囲で、島の暮らしと商いに密着してきた——その姿が、この小ささに表れています。

預貸率63.0%は、信用組合としては高めの水準です。集めた預金の6割超を貸出に回している。規模は極小だが、貸すことには積極的な信組です。福江信用組合が貸す相手は、五島の漁業者、地域の商店、零細な事業者、そして島の住民が中心と考えられます。本土の銀行が支店を置きにくい離島では、地元の小さな信組が、島の事業者にとって最も身近な——ときに数少ない——貸し手になる。中小先672という数字は規模相応に小さいものの、その一つひとつが、海の向こうの島の暮らしに直結しています。

不良債権比率3.11%は、過疎の著しい離島の小さな信組としては、むしろ抑えられた水準です。自己資本比率11.98%という、協同組織として相応の厚みとあわせて、堅実な経営がうかがえます。規模が極小であるぶん、一つひとつの貸出先を間近で見渡せる——その距離の近さが、離島にありながら焦げ付きを抑えることにつながっている可能性があります。もちろん、これらの比率には個別の事情も大きく絡むため断定はできませんが、本土から海で隔てられた五島という離島と、店舗2という極小の規模を抜きに、この数字は読めません。

福江信用組合が示すのは、海の向こうの離島で、島の暮らしに密着して貸す極小信組の姿です。店舗2、預金145億円。それでも預金の6割超を島に流す。預貸率63.0%という積極性は、本土の銀行が届きにくい五島で、島の事業者に向き合ってきたことの表れと読めます。

信用組合という、地域に密着した協同組織

福江信用組合は、信用金庫ではなく信用組合です。信用組合は、中小企業等協同組合法などにもとづく協同組織で、組合員のための相互扶助を目的とします。信用金庫と比べても、より小規模で、地域や組合員に密着した存在であることが多い。地元の小さな事業者や住民に、近い距離で向き合う——それが、この信組の役割です。店舗2という小ささは、裏を返せば、五島という限られた島の範囲に深く根ざしているということでもあります。

同じ長崎で、もう一つの信組と並べてみる

本紀行には、同じ長崎県の西海みずき信用組合も登場しています。西海みずき信組は、長崎県内を地盤とする信用組合でした。五島列島という離島に根ざす極小の福江信用組合(預金145億円・店舗2)と、長崎県内を地盤とする西海みずき信用組合とを並べると、同じ長崎県でも、海の向こうの離島に密着する極小信組と、より広い範囲を地盤とする信組とで、規模も広がりも大きく異なることが見えてきます。長崎のもう一つの信組の姿は、西海みずき信用組合の記事もあわせてどうぞ。

借り手にとっての意味

離島に根ざす小さな信用組合は、島の事業者にとって、最も身近な——ときに数少ない——貸し手です。本土の銀行が支店を置きにくい離島で、島の暮らしと商いに密着してきた信組の存在は、島の事業者にとって心強いものです。距離の近さを生かして、島の小さな借り手に向き合う姿勢があります。預貸率という数字の読み方は、預貸率の読み方であらためて整理しています。

数字は、離島の暮らしを映す

店舗2・預金145億円という極小の規模と、預貸率63.0%という積極性は、本土から海で隔てられた五島列島で、島の暮らしと商いに密着して貸してきた信組の姿を映しています。大きな範囲で広く貸す金融機関もあれば、福江信用組合のように離島の限られた範囲で島に向き合う極小信組もある。数字は、その金融機関がどんな土地で、誰に向き合ってきたかを語ります。福江信用組合の数字は、五島列島を支える小さな信組の、いまの記録です。

各地の金融機関には、それぞれの規模と役割の事情が刻まれた、それぞれの生き方があります。長崎県の他の金融機関とあわせて眺めたい方は、長崎県の地域金融機関のページもどうぞ。

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出先件数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
福江信用組合の地盤(五島市本店、五島列島を地盤とする小規模な信用組合であること)に関する記述=福江信用組合および各種公開情報にもとづく。
五島市・五島列島の地理と歴史(東シナ海の島々、福江島、漁業・農業・観光・椿油、潜伏キリシタンの教会群と世界文化遺産、本土から海で隔てられた離島、人口減少・高齢化)に関する記述=各種公開情報。
西海みずき信用組合の位置づけ=各種公開情報および本紀行既出記事。
信用組合の制度(中小企業等協同組合法等にもとづく協同組織であること)に関する記述=関係法令および金融庁等の公開資料にもとづく一般的な説明。

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