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百十四銀行——114番目のナンバー地銀は、瀬戸内で何に貸すか

預貸率76.7%、預金4.6兆円、不良債権比率1.32%。高松市に本店を置く百十四銀行。第百十四国立銀行を源流とし、香川県内最大の銀行として瀬戸内経済圏に根を張る大手地銀の数字を読みます。

ニホン銀行紀行 ・ 香川県

香川県高松市に本店を置く百十四銀行は、預金4兆5,816億円、貸出金3兆5,128億円、店舗133。香川県内最大の銀行であり、四国を代表する地方銀行のひとつです。略称は行名と同じ「百十四」だが、アラビア数字の「114」のほうがよく使われ、全銀システム上の銀行名も「114」となっています。その名は、明治初期の国立銀行の番号に由来します。

本拠地の香川県は、日本一面積の小さい県でありながら、瀬戸内海に面し、温暖な気候と交通の便に恵まれた土地です。高松は四国の玄関口として、商業・行政の集積する都市。瀬戸大橋で本州とつながり、瀬戸内経済圏の一角を担ってきました。この瀬戸内の地で、百十四銀行は一貫して香川県内最大の銀行として存在してきました。香川県のほか、高松市・丸亀市・坂出市・観音寺市など県内12市町の指定金融機関——公金を扱う銀行——でもあります。この、県を代表する大手地銀という立場が、百十四銀行の数字を読む鍵になります。

そして、この銀行の名には、特別な歴史が刻まれています。源流は、1878年(明治11年)に設立された第百十四国立銀行。明治初期、全国に設立された国立銀行には許可された順に番号が付けられ、114番目に許可されたのがこの銀行でした。その後、1924年に高松銀行と合併して高松百十四銀行となり、1948年に現行の「百十四銀行」へ。いまも数少ないナンバー銀行のひとつとして、その名に150年近い歴史を刻んでいます。数字の面で目を引くのは、預貸率76.7%という高めの水準です。

まず、数字を並べる

百十四銀行の預金は4兆5,816億円、貸出金は3兆5,128億円、預貸率76.7%。自己資本比率は8.78%、不良債権比率は1.32%。中小企業等向けの貸出残高は2兆4,773億円にのぼります。

百十四銀行(令和7年3月末)
預金4兆5,816億円
貸出金3兆5,128億円
預貸率76.7%
自己資本比率8.78%
不良債権比率1.32%
中小企業等向け貸出残高24,773億円
店舗133店

預貸率76.7%・不良債権1.32%。瀬戸内に根を張る県内最大の地銀の数字を読む。

76.7%を、瀬戸内の地盤から読む

預貸率76.7%は、地方銀行のなかでもしっかり高い水準です。集めた預金の8割近くを貸出に回している。県内最大の銀行として、香川という土地の資金需要を幅広く取り込んでいることの表れと読めます。

百十四銀行が貸す相手は、香川県内の幅広い事業者と個人です。瀬戸内の温暖な気候を生かした農業や水産、高松の商業、県内各地の製造業が、その融資先に含まれます。県内貸出シェアで圧倒的な地位を占める百十四銀行は、香川の経済そのものと一体になって資金を回してきました。加えて、瀬戸大橋の開通以降は岡山など瀬戸内経済圏へも地盤を広げ、大阪・東京といった都市部にも店舗を構えています。本拠地だけにとどまらず、瀬戸内という広域経済圏に貸し先を広げてきたことが、預貸率76.7%という高さを支えていると読めます。不良債権比率1.32%は、大手地銀として低めに抑えられた水準で、多様な業種・地域に貸し先が分散していることと、県を知り抜いた目利きの表れと考えられます。

注目したいのは、自己資本比率8.78%という数字です。大手地銀のなかでは、特別に厚いとはいえない水準です。これは、それだけ積極的に貸出を伸ばし、リスクを取って地域に資金を供給してきたことの裏返しとも読めます。よく貸す銀行は、その分だけ自己資本に対する貸出の比重が高くなりやすい。もちろん、自己資本比率には規制上の最低基準(国内基準行は4%)があり、8.78%はそれを十分に上回る水準です。もちろん、これらの比率には経営方針や景気も絡むため断定はできませんが、瀬戸内経済圏に積極的に貸す県内最大の地銀という姿を抜きに、この数字は読めません。近年は、四国の地方銀行4行による広域連携「四国アライアンス」にも参加し、人口減少が進む四国全体での生き残りを模索しています。

百十四銀行が示すのは、瀬戸内経済圏に根を張る県内最大の地銀の地力です。香川の経済と一体に資金を回し、瀬戸大橋を越えて広域に貸し先を広げる。預貸率76.7%という高さは、本拠地と瀬戸内という二つの地盤に積極的に貸してきたことの表れと読めます。

ナンバー銀行という、歴史の重み

百十四銀行を語るうえで欠かせないのが、その名に刻まれた歴史です。明治初期、全国に設立された国立銀行には、設立の許可順に番号が振られました。その多くは、その後の合併や改称で番号を名から外していきましたが、百十四銀行は今日まで「百十四」を残しています。114番目に許可された国立銀行の番号を、150年近くたったいまも行名に冠している。長い歴史のなかで地域の金融を担い続けてきたこと自体が、この銀行の信用の厚みを物語っています。県を代表する銀行が、ナンバーという明治の記憶をそのまま名に残していることは、香川の金融史そのものの証でもあります。

同じ県の、信用金庫と並べてみる

同じ香川県には、県西部の観音寺に根ざす観音寺信用金庫があります。県全域に広く貸す県内最大の地銀・百十四銀行(預貸率76.7%)と、一つの地域に深く根ざす信用金庫とでは、規模も貸す相手も役割も異なります。同じ香川県でも、県を代表する大手地銀と、地域に密着した信金とが、重なり合って県の金融を形づくっている。これは優劣ではなく、それぞれの立ち位置の差です。両者を並べると、香川県の金融の重層性が見えてきます。地域に根ざす信金の姿は、観音寺信用金庫の記事もあわせてどうぞ。

借り手にとっての意味

県を代表する大手地銀は、香川県の事業者にとって、もっとも身近な選択肢のひとつです。県内シェア最大という基盤と、瀬戸内経済圏に広がる店舗網は、地域を越えた取引を目指す企業にとっても心強いものです。高い預貸率は積極的に貸す姿勢の表れとも読めますが、それが個別の融資の可否を保証するものではありません。預貸率という数字の読み方は、預貸率の読み方であらためて整理しています。

数字は、土地と歴史を映す

預貸率76.7%という高さは、瀬戸内の地・香川に根ざし、県内最大の銀行として広域に貸してきた大手地銀の姿を映しています。そしてその名には、114番目のナンバー銀行という、150年近い歴史が刻まれています。数字は、その金融機関がどんな土地で、どんな歴史を重ねてきたかを語ります。百十四銀行の数字は、番号とともに瀬戸内を歩んできた地銀の、いまの記録です。

各地の金融機関には、それぞれの土地と歴史の事情が刻まれた、それぞれの生き方があります。香川県の他の金融機関とあわせて眺めたい方は、香川県の地域金融機関のページもどうぞ。

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
百十四銀行の沿革(1878年に第百十四国立銀行として設立、114番目に許可されたナンバーバンク、1924年に高松銀行と合併し高松百十四銀行、1948年に現行名へ改称)、香川県内最大の銀行であること、香川県および県内12市町の指定金融機関であること、四国アライアンスへの参加に関する記述=百十四銀行および各種公開情報にもとづく。
香川県・瀬戸内の経済(高松の商業・行政集積、瀬戸大橋、瀬戸内経済圏)に関する記述=各種公開情報。
自己資本比率の国内基準(4%)に関する記述=金融庁の公開資料にもとづく一般的な説明。
観音寺信用金庫の位置づけ=各種公開情報。

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