広島銀行——中国地方の雄は、ものづくりの広島で何に貸すか
預貸率85.8%、預金9.3兆円、不良債権比率1.02%。広島市に本店を置く広島銀行。中国地方を代表する地銀「ひろぎん」が、自動車・造船・鉄鋼のものづくり県でよく貸す姿を読みます。
広島県広島市に本店を置く広島銀行は、地元で「ひろぎん」と呼ばれる地方銀行です。預金9兆3,059億円、貸出金7兆9,842億円、店舗157。中国地方を代表する地方銀行であり、広島県および県内多くの自治体の指定金融機関——公金を扱う銀行——でもあります。近年は持株会社(ひろぎんホールディングス)体制に移行しています。
本拠地の広島県は、中国地方最大の経済規模を持つ県です。自動車を頂点に、造船、鉄鋼、機械といった重工業が瀬戸内海沿岸に集積する、西日本有数のものづくり県です。広島市は中国・四国地方の中枢都市として商業・サービス業も厚く、世界的に知られる平和記念都市でもあります。この重工業の集積するものづくり県という地盤が、広島銀行の数字を読む鍵になります。
広島銀行は、明治期の銀行を源流とし、合併を重ねて広島県を代表する地銀となりました。中国地方の経済の発展とともに業容を広げ、県内はもとより中国・四国、関西、東京にも店舗網を持つ広域地銀です。数字の面で目を引くのは、預貸率85.8%という高さと、不良債権比率1.02%という低さです。
まず、数字を並べる
広島銀行の預金は9兆3,059億円、貸出金は7兆9,842億円、預貸率85.8%。自己資本比率は9.95%、不良債権比率は1.02%。中小企業等向けの貸出残高は4兆8,353億円にのぼります。
| 預金 | 9兆3,059億円 |
|---|---|
| 貸出金 | 7兆9,842億円 |
| 預貸率 | 85.8% |
| 自己資本比率 | 9.95% |
| 不良債権比率 | 1.02% |
| 中小企業等向け貸出残高 | 48,353億円 |
| 店舗 | 157店 |
預貸85.8%・不良債権1.02%。ものづくり県でよく貸す中国地方の雄。
85.8%と1.02%を、ものづくり県から読む
預貸率85.8%は、地方銀行のなかでも高い水準です。集めた預金の8割超を貸出に回している。そして不良債権比率は1.02%と低い。よく貸しながら焦げ付きが少ない——中国地方最大の経済を地盤とする地銀の地力がうかがえます。
広島銀行が貸す相手は、広島県を中心とする中国地方の事業者と個人です。自動車関連の部品・素材メーカー、造船・鉄鋼などの重工業、その下請けを担う中小企業、地域の商業、そして住宅ローンが、その融資先に含まれます。中小企業等向けの貸出残高4兆8,353億円という規模は、ものづくり県の事業者の資金需要を厚く引き受けてきたことを示しています。重工業が集積し、関連する中小の裾野が広い経済を背景に、貸し先に事欠かないことが、預貸率85.8%という高さを支えていると読めます。
不良債権比率1.02%という低さは、自動車から造船・鉄鋼まで多様な重工業に貸し先が分散していること、そして中国地方を代表する銀行としての与信管理の確かさの表れと読めます。自己資本比率9.95%は地銀として標準的な水準で、よく貸しながらもバランスを保つ経営がうかがえます。もちろん、これらの比率には経営方針や景気も絡むため断定はできませんが、重工業の集積するものづくり県という地盤を抜きに、この数字は読めません。
同じ広島で、信組と並べてみる
本紀行には、同じ広島県の広島市信用組合も登場しています。広島市信組は「融資一本」を掲げ、運用に頼らず預金の9割超を貸す信用組合でした。県全域を相手にする広島銀行(預貸率85.8%)と、地区の中小に密着して高く貸す信組(預貸率91.1%)とを並べると、同じ広島で、立場の異なる金融機関が、それぞれの流儀で「よく貸す」を実践していることが見えてきます。中国地方の雄たる地銀と、融資に徹する信組——両者を並べると、広島の金融の層の厚みが見えてきます。広島の信組の姿は、広島市信用組合の記事もあわせてどうぞ。
借り手にとっての意味
中国地方を代表する地銀は、広島の事業者にとって、もっとも有力な選択肢のひとつです。よく貸す姿勢と広域の店舗網は、地域を越えた取引を目指す企業にとっても心強いものです。高い預貸率は積極的に貸す姿勢の表れとも読めますが、それが個別の融資の可否を保証するものではありません。預貸率という数字の読み方は、預貸率の読み方であらためて整理しています。
数字は、ものづくり県の力を映す
預貸率85.8%という高さと、不良債権比率1.02%という低さは、重工業の集積する中国地方最大の経済に根ざし、よく貸しながら堅実な与信を保ってきた地銀の姿を映しています。数字は、その金融機関がどんな土地で、どんな産業に向き合ってきたかを語ります。広島銀行の数字は、ものづくりの瀬戸内を支える中国地方の雄「ひろぎん」の、いまの記録です。
各地の金融機関には、それぞれの土地と産業の事情が刻まれた、それぞれの生き方があります。広島県の他の金融機関とあわせて眺めたい方は、広島県の地域金融機関のページもどうぞ。
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
広島銀行の沿革(明治期の銀行を源流とし合併を重ねて広島県を代表する地銀となったこと、中国地方を代表する地方銀行であること、ひろぎんホールディングス体制、中国・四国・関西・東京にも店舗を持つ広域地銀であること、広島県等の指定金融機関であること)に関する記述=広島銀行・ひろぎんホールディングスおよび各種公開情報にもとづく。
広島県の地理と産業(中国地方最大の経済規模、自動車・造船・鉄鋼・機械等の重工業の瀬戸内沿岸集積、広島市の中枢都市機能、平和記念都市)に関する記述=各種公開情報。
広島市信用組合の位置づけ=各種公開情報および本紀行既出記事。