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西京銀行——「西の京」の第二地銀は、預金の8割超を何に貸すか

預貸率83.5%、預金2.1兆円、自己資本比率7.40%。山口県周南市に本店を置く西京銀行。無尽を源流とし、首都圏進出など新機軸で知られる第二地方銀行が、薄めの自己資本で高く貸す姿を読みます。

ニホン銀行紀行 ・ 山口県

山口県周南市に本店を置く西京銀行は、預金2兆1,393億円、貸出金1兆7,853億円、店舗61の第二地方銀行です。「西京」とは「西の京」、すなわち山口の古い呼び名にちなみます。山口県内では、山口銀行(地方銀行)に次ぐ立場にある金融機関です。

本拠地の周南市は、山口県東部、瀬戸内海に面した土地です。周南コンビナートと呼ばれる石油化学・鉄鋼などの臨海工業地帯を抱え、ものづくりが盛んな地域です。徳山港を中心に栄えた工業都市であり、その関連企業や中小事業者が地域経済を支えています。本店所在地である山口県では、県庁所在地の山口市に銀行の本店がなく、地銀の山口銀行も第二地銀の西京銀行も、ともに山口市以外(下関市・周南市)に本店を置くという、全国でも珍しい事情があります。この工業地帯・周南という土地柄が、西京銀行の数字を読む鍵になります。

西京銀行の歩みは、1930年に徳山無尽共益という無尽組織として始まりました。無尽とは、庶民が金を出し合い融通し合う相互扶助のしくみで、第二地方銀行の源流によく見られます。その後、山口無尽、山口相互銀行を経て、1989年に普通銀行へ転換し、「西京銀行」へ改称しました。首都圏への積極進出やインターネット銀行構想など、第二地銀のなかでも新機軸を打ち出す姿勢で知られます。数字の面で目を引くのは、預貸率83.5%という高さと、自己資本比率7.40%という薄めの水準の組み合わせです。

まず、数字を並べる

西京銀行の預金は2兆1,393億円、貸出金は1兆7,853億円、預貸率83.5%。自己資本比率は7.40%、不良債権比率は1.23%。中小企業等向けの貸出残高は1兆5,267億円にのぼります。

西京銀行(令和7年3月末)
預金2兆1,393億円
貸出金1兆7,853億円
預貸率83.5%
自己資本比率7.40%
不良債権比率1.23%
中小企業等向け貸出残高15,267億円
店舗61店

預貸率83.5%・自己資本7.40%。薄めの守りで高く貸す第二地銀の数字。

83.5%と7.40%を、工業地帯と新機軸から読む

預貸率83.5%という高さと、自己資本比率7.40%という薄めの水準。この組み合わせは、リスクを取って積極的に貸す第二地銀の姿を示しています。

西京銀行が貸す相手は、まず周南の工業地帯を中心とする山口県内の事業者です。コンビナートの関連企業、地域の中小製造業、商業・サービス業が、その融資先に含まれます。預貸率83.5%は、集めた預金の8割超を貸出に回しており、地方銀行・第二地銀のなかでもかなり高い水準です。地銀の後塵を拝する第二地銀が、地域でシェアを確保するには、よりきめ細かく、より積極的に貸す姿勢が求められます。加えて西京銀行は、首都圏への進出にも積極的で、本拠地の外にも貸し先を求めてきました。これらが、預貸率83.5%という高さを支えていると読めます。

注目したいのは、自己資本比率7.40%という薄めの数字です。地方銀行・第二地銀のなかでは、厚いとはいえない水準です。これは、それだけ積極的に貸出を伸ばし、リスクを取って資金を供給してきたことの裏返しとも読めます。よく貸す銀行は、その分だけ自己資本に対する貸出の比重が高くなりやすい。もちろん、自己資本比率には規制上の最低基準(国内基準行は4%)があり、7.40%はそれを上回る水準ですが、厚く守りを固めるタイプではなく、攻めに軸足を置く経営だと読めます。不良債権比率1.23%は低めに抑えられており、高く貸しながらも焦げ付きは管理できている。もちろん、これらの比率には経営方針や景気も絡むため断定はできませんが、地銀に次ぐ立場で積極的に貸す第二地銀という姿を抜きに、この数字は読めません。

西京銀行が示すのは、地銀に次ぐ立場で、薄めの守りで高く貸す第二地銀の姿です。周南の工業地帯に貸しながら、首都圏にも進出し、預金の8割超を貸出に回す。83.5%と7.40%の組み合わせは、攻めに軸足を置いて地域でシェアを取りにいく経営の表れと読めます。

第二地銀という立場から読む

第二地方銀行は、その多くが無尽や相互銀行を源流とし、戦後に普通銀行へ転換して生まれました。地域には先に地方銀行があり、第二地銀はそれに次ぐ立場から出発することが多い。だからこそ、地銀より小回りの利く融資や、地銀が手を伸ばしにくい中小・零細への密着で、自らの居場所を作ってきた銀行が少なくありません。西京銀行の預貸率83.5%という高さも、首都圏進出やネット銀行構想といった新機軸も、地銀に次ぐ立場ゆえに、攻めることで活路を開いてきた歩みの表れと読めます。地銀が県の王道を行くとすれば、第二地銀はその脇で、別の戦い方で地域に資金を流してきたといえます。

借り手にとっての意味

第二地方銀行は、地域の中小事業者にとって、地銀と並ぶ身近な選択肢です。とりわけ、積極的に貸す姿勢を持つ第二地銀は、地銀が慎重になりがちな先にも向き合うことがあります。高い預貸率は積極的に貸す姿勢の表れとも読めますが、それが個別の融資の可否を保証するものではありません。預貸率という数字の読み方は、預貸率の読み方であらためて整理しています。

数字は、攻めの姿勢を映す

預貸率83.5%という高さと、自己資本比率7.40%という薄めの水準は、周南の工業地帯に根ざし、首都圏にも進出しながら、攻めに軸足を置いて地域でシェアを取りにいく第二地銀の姿を映しています。厚く守る金融機関もあれば、西京銀行のように薄めの守りで高く貸す銀行もある。数字は、その金融機関がどんな立場で、どう地域と向き合ってきたかを語ります。西京銀行の数字は、無尽を源流とし「西の京」を名に負う第二地銀の、いまの記録です。

本紀行には、同じ山口県の山口県信用組合も登場しています。山口県信組は、山陽小野田市を本店に、店舗4・預金268億円という小規模な信用組合でした。県全域を相手にし預金の8割超を貸すこの西京銀行(預貸率83.5%・預金2.1兆円)と、県西部の限られた範囲で小さな借り手に貸す山口県信用組合(預金268億円)とを並べると、同じ山口でも、県を相手にする第二地銀と、地元の零細に密着する小さな信組とで、規模も役割も大きく異なることが見えてきます。小さな信組の姿は、山口県信用組合の記事もあわせてどうぞ。

各地の金融機関には、それぞれの土地と立場の事情が刻まれた、それぞれの生き方があります。山口県の他の金融機関とあわせて眺めたい方は、山口県の地域金融機関のページもどうぞ。

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
西京銀行の沿革(1930年に徳山無尽共益として設立、山口無尽・山口相互銀行を経て1989年に普通銀行へ転換し西京銀行へ改称)、本店が周南市にあること、首都圏進出やインターネット銀行構想など新機軸の姿勢、山口市に銀行の本店がないことに関する記述=西京銀行および各種公開情報にもとづく。
周南市・山口県東部の産業(周南コンビナート・石油化学・鉄鋼等の臨海工業地帯)に関する記述=各種公開情報。
自己資本比率の国内基準(4%)に関する記述=金融庁の公開資料にもとづく一般的な説明。
第二地方銀行の一般的な成り立ち(無尽・相互銀行を源流とする等)に関する記述=一般的な金融制度の説明にもとづく。

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