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七十七銀行——東北最大の地銀は、杜の都で何に貸すか

預貸率70.1%、預金8.8兆円、中小残高3.9兆円。仙台市に本店を置く七十七銀行。渋沢栄一が関与した国立銀行を源流とし、県内企業の半分以上がメインバンクとする東北最大の地銀が、杜の都で貸す姿を読みます。

ニホン銀行紀行 ・ 宮城県

宮城県仙台市青葉区に本店を置く七十七銀行は、地元で「シチシチ」と呼ばれる地方銀行です。預金8兆8,305億円、貸出金6兆1,880億円、店舗144。東北地方で最も大きな営業規模を持つ地銀であり、宮城県および仙台市など県下多くの自治体の指定金融機関——公金を扱う銀行——を受託しています。宮城県内の企業の半分以上がメインバンクとして利用する、文字どおり地域の中核です。

本拠地の仙台は、「杜の都」と呼ばれる東北最大の都市です。東北地方の経済・行政・流通の中心であり、支店経済都市として全国企業の拠点が集まる一方、地元の中小企業や商業も厚く根を張る土地です。東北全体の玄関口として、人とモノとお金が集まります。この東北の中心・仙台という土地柄が、七十七銀行の数字を読む鍵になります。

七十七銀行の歩みは古く、1878年、77番目の国立銀行として設立された第七十七国立銀行を源流とします。当時、この銀行の設立には渋沢栄一が深く関与しました。その後、1932年に七十七銀行・東北実業銀行・五城銀行の3行が合併して、新制の七十七銀行が発足しました。番号をそのまま行名に残す、由緒あるナンバー銀行です。地方銀行で唯一の資金決済銀行でもあります。数字の面で目を引くのは、その規模の大きさと、預貸率70.1%という水準です。

まず、数字を並べる

七十七銀行の預金は8兆8,305億円、貸出金は6兆1,880億円、預貸率70.1%。自己資本比率は10.21%、不良債権比率は1.98%。中小企業等向けの貸出残高は3兆8,626億円にのぼります。

七十七銀行(令和7年3月末)
預金8兆8,305億円
貸出金6兆1,880億円
預貸率70.1%
自己資本比率10.21%
不良債権比率1.98%
中小企業等向け貸出残高38,626億円
店舗144店

預金8.8兆円・預貸70.1%。東北最大の地銀が杜の都で貸す数字。

70.1%を、東北の中心・仙台から読む

預貸率70.1%は、地方銀行として標準的な水準です。集めた預金の7割を貸出に回している。預金8.8兆円という東北最大の規模を考えれば、これだけの資金を地域に流していることの意味は大きいといえます。

七十七銀行が貸す相手は、まず宮城県内の事業者と個人です。仙台の商業・サービス業、東北各地に展開する企業、地域の中小製造業、住宅ローンが、その融資先に含まれます。県内企業の半分以上がメインバンクとするという事実は、この銀行が宮城経済そのものと一体であることを示しています。中小企業等向けの貸出残高3兆8,626億円という規模は、地域の事業者の資金需要を広く引き受けてきた証です。一方、預金8.8兆円に対して貸出が6.2兆円にとどまり預貸率が7割であるのは、東北の中心として潤沢な預金が集まる一方、その全てを地元で貸し切るには宮城の経済規模に限りがあることの表れとも読めます。集めた預金のうち貸出に回りきらない分は、有価証券などの運用に向かいます。

不良債権比率1.98%は、地銀として標準的な水準です。東北最大の都市・仙台を中心に、多様な業種・規模の借り手に貸し先が分散していること、そして長年つちかってきた地域企業との関係にもとづく目利きの表れと読めます。自己資本比率10.21%という相応の厚みとあわせて、規模に見合った安定した経営がうかがえます。もちろん、これらの比率には経営方針や景気も絡むため断定はできませんが、東北の中心・仙台という土地と、東北最大の地銀という立場を抜きに、この数字は読めません。地方銀行で唯一の資金決済銀行という特別な役割も、その信用力の背景にあります。

七十七銀行が示すのは、東北最大の地銀が、杜の都を中心に地域経済を一手に支える姿です。県内企業の半分以上がメインバンクとし、預金8.8兆円を集めて地元に貸す。預貸率70.1%という水準は、東北の中心としての厚みと、宮城の経済規模の両方を映していると読めます。

もう一つの大規模地銀と並べてみる

本紀行には、地方銀行の最大手も登場しています。神奈川県の横浜銀行です。横浜銀行は総資産で地銀首位、日本最大の地方銀行です。東北最大の七十七銀行(預金8.8兆円)と、全国最大の横浜銀行とを並べると、いずれも県を代表する大規模地銀でありながら、首都圏という巨大市場を地盤とする横浜銀行と、東北の中心として広域から預金を集める七十七銀行とで、置かれた土地の条件がどう数字に出るかが見えてきます。大都市圏の地銀と地方中枢都市の地銀——両者を並べると、地銀の規模が何で決まるかが見えてきます。日本最大の地銀の姿は、横浜銀行の記事もあわせてどうぞ。

借り手にとっての意味

東北最大の地銀は、宮城・東北の事業者にとって、もっとも身近で頼れる選択肢のひとつです。県内シェアの高さと広域の店舗網は、地域を越えた取引を目指す企業にとっても心強いものです。預貸率は貸出への姿勢の表れとも読めますが、それが個別の融資の可否を保証するものではありません。預貸率という数字の読み方は、預貸率の読み方であらためて整理しています。

数字は、東北の中心を映す

預貸率70.1%という水準と、預金8.8兆円という規模は、杜の都・仙台に根ざし、渋沢栄一が関与した国立銀行を源流として、東北経済の中核を担い続けてきた地銀の姿を映しています。一つの県に収まる地銀もあれば、七十七銀行のように地方の中枢として広域に立つ地銀もある。数字は、その金融機関がどんな土地で、どんな役割を担ってきたかを語ります。七十七銀行の数字は、番号を名に負って東北を支える地銀の、いまの記録です。

各地の金融機関には、それぞれの土地と歴史の事情が刻まれた、それぞれの生き方があります。宮城県の他の金融機関とあわせて眺めたい方は、宮城県の地域金融機関のページもどうぞ。

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
七十七銀行の沿革(1878年に第七十七国立銀行として設立、渋沢栄一が設立に関与、1932年に七十七銀行・東北実業銀行・五城銀行の3行が合併して新制発足)、東北最大の営業規模であること、宮城県・仙台市など多くの自治体の指定金融機関であること、県内企業の半分以上がメインバンクとすること、地方銀行で唯一の資金決済銀行であることに関する記述=七十七銀行および各種報道・公開情報にもとづく。
仙台市・宮城県の経済(杜の都、東北の経済・行政・流通の中心、支店経済都市)に関する記述=各種公開情報。
横浜銀行の位置づけ=各種公開情報および本紀行既出記事。

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