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京都銀行——任天堂や村田の大株主である地銀は、何で稼ぐのか

預貸率78.8%、預金9.3兆円。京都市に本店を置く京都銀行。任天堂・村田製作所・京セラなど京都発の優良企業の大株主として知られ、保有上場株の含み益が1兆円規模にのぼる地銀の姿を読みます。

ニホン銀行紀行 ・ 京都府

京都府京都市に本店を置く京都銀行は、地元で「ザ・キョーギン」とも呼ばれる、京都府を代表する地方銀行です。預金9兆2,876億円、貸出金7兆3,222億円、店舗174。京都府にとどまらず、大阪・滋賀・奈良・兵庫・愛知など近畿一円に店舗網を広げる、有力地銀のひとつです。

本拠地の京都は、千年の都であると同時に、世界的なものづくり企業を数多く生んだ土地でもあります。任天堂、村田製作所、京セラ、日本電産(ニデック)、オムロン、ローム——いずれも京都に本社を置き、世界市場で戦う優良企業です。伝統産業から先端のエレクトロニクスまでが同居するこの土地柄が、実は京都銀行を「ただの地銀」とは異なる存在にしています。この、優良企業を多く抱える京都という地盤が、京都銀行の数字を読む鍵になります。

京都銀行は1941年の設立。地域の融資を担う一方で、地元の企業との長い取引関係のなかで、これらの優良企業の株式を、上場前の早い時期から保有してきたことで知られます。数字の面で目を引くのは、預貸率78.8%という標準的な水準ですが、この銀行の本当の特徴は、貸借対照表に表れる巨額の株式にあります。

まず、数字を並べる

京都銀行の預金は9兆2,876億円、貸出金は7兆3,222億円、預貸率78.8%。自己資本比率は10.64%、不良債権比率は1.36%と低い。中小企業等向けの貸出残高は4兆3,248億円にのぼります。

京都銀行(令和7年3月末)
預金9兆2,876億円
貸出金7兆3,222億円
預貸率78.8%
自己資本比率10.64%
不良債権比率1.36%
中小企業等向け貸出残高43,248億円
店舗174店

預貸78.8%・不良債権1.36%。だが本当の特徴は、貸出の数字には表れない。

78.8%を、優良企業の地盤から読む

預貸率78.8%は、地方銀行として標準的な水準です。集めた預金の8割弱を貸出に回している。京都・近畿一円の中小企業に広く貸す、有力地銀らしい数字です。不良債権比率1.36%という低さは、京都の地域経済の厚みと、堅実な与信の積み重ねの表れと読めます。だが、京都銀行の特異さは、この貸出の数字には表れません。

この銀行を語るうえで欠かせないのが、保有する上場株式の存在です。京都銀行は、令和7年(2025年)3月末時点で、ニデック・村田製作所・京セラなど100社を超える上場企業の株式を保有し、その貸借対照表上の総額は1兆円規模にのぼると報じられています。とりわけ任天堂については、発行済み株式の数%を保有する大株主として知られてきました。これらの株式の多くは、企業がまだ小さかった頃からの長い取引関係のなかで取得したもので、取得時の価格が極めて低いとみられます。京都発の企業が世界的な優良企業へと育つにつれ、その株式には巨額の含み益が積み上がりました。

これが意味するのは、京都銀行は、貸出の利ざやだけで成り立つ銀行ではないということです。地域への融資という地銀本来の役割を担いながら、同時に、京都という土地が生んだ優良企業の成長を、株主として共有してきた。低い不良債権比率と、自己資本比率10.64%という相応の厚みの背後には、この巨額の株式という「もうひとつの資産」があります。もちろん、株式の含み益は株価の変動に左右され、保有方針も時代とともに見直されるため、これを安定した収益と単純に見ることはできません。実際、近年は金融当局の方針もあり、こうした政策保有株を段階的に縮減する動きも報じられています。それでも、京都という土地と、そこで育った企業群を抜きに、京都銀行という地銀は読めません。

京都銀行が示すのは、優良企業を多く生んだ土地に根ざし、融資と株式保有の両面で地域とともに育ってきた地銀の姿です。預貸率78.8%で地域に貸しながら、京都発の企業の株式に巨額の含み益を抱える。その特異さは、千年の都が世界企業を生んだという、京都の地盤そのものの表れと読めます。

同じ京都で、巨大信金と並べてみる

本紀行には、同じ京都府の京都中央信用金庫も登場しています。京都中央信金は、全国屈指の規模を持つ巨大信金として、京都の中小企業に深く貸す存在でした。近畿一円に広がり優良企業の株式を抱える京都銀行(預貸率78.8%・預金9.3兆円)と、京都の中小に密着する巨大信金・京都中央信金とを並べると、同じ京都を地盤としながら、広域に展開し株式でも稼ぐ地銀と、地元の中小に徹して貸す巨大信金とで、役割と性格が異なることが見えてきます。京都の中小を支える巨大信金の姿は、京都中央信用金庫の記事もあわせてどうぞ。

借り手にとっての意味

有力地銀は、京都・近畿の事業者にとって、もっとも有力な選択肢のひとつです。広い店舗網と地銀としての規模は、成長や広域取引を目指す企業にとって心強いものです。預貸率は標準的な水準で、それが個別の融資の可否を一律に決めるわけではありません。預貸率という数字の読み方は、預貸率の読み方であらためて整理しています。

数字は、京都の地盤を映す

預貸率78.8%という標準的な数字と、その背後にある1兆円規模の株式は、千年の都が世界的な優良企業を数多く生んだという、京都ならではの地盤を映しています。融資だけで成り立つ地銀もあれば、京都銀行のように土地が生んだ企業の成長を株主として共有してきた地銀もある。数字は、その金融機関がどんな土地で育ってきたかを語ります。京都銀行の数字は、優良企業を生んだ京都を地盤とする地銀の、いまの記録です。

各地の金融機関には、それぞれの地盤と歩みの事情が刻まれた、それぞれの生き方があります。京都府の他の金融機関とあわせて眺めたい方は、京都府の地域金融機関のページもどうぞ。

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(預貸率は貸出金÷預金で算出)。
京都銀行の沿革(1941年設立、京都市本店、近畿一円に店舗網を持つ地方銀行)、保有上場株式(令和7年3月末時点で100社超の上場株を保有し総額が1兆円規模にのぼること、任天堂・村田製作所・京セラ・ニデック等の大株主であること、上場前からの取得とみられ含み益が大きいこと、近年は政策保有株を縮減する動きがあること)に関する記述=京都銀行・京都フィナンシャルグループの開示資料および各種報道・公開情報にもとづく。
京都の産業(任天堂・村田製作所・京セラ・ニデック・オムロン・ローム等の世界的企業が本社を置くこと)に関する記述=各種公開情報。
京都中央信用金庫の位置づけ=各種公開情報および本紀行既出記事。
本記事は特定の銘柄・株式・金融商品の購入や投資を勧めるものではありません。

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